「独学という地獄」
工業高校へ進学した一年生の秋から、独学で大学を目指すことになった。
きっかけは、工業高校が合わなかったからだ。
機械科だったが、全く興味を持てなかった。毎日作業ばかりで、私には耐えられなかった。所詮、成績が悪くて仕方なく進学した高校だったから。
一人で普通科の教科書を読んでも、全くわからなかった。
もともと頭が悪い上に誰も教えてくれないのだから、理解できるはずもなかった。
わからないまま適当に進めていると、やがて辻褄が合わなくなってくる。その頃になって、ようやく誤解していたことに気付くような有様だった。
一ページ理解するのに、一週間もかかった。そんな勉強を毎日三時間ずつこなした。
まるで、真っ暗なトンネルの中をたった一人で進んでいくような孤独感と強い不安感があった。
「こんなことをしていて、本当に大学へ行けるんだろうか?」
そんなことをいつも思った。
毎日つらくてつらくて、どうしようもなかった。
そして、こんなことも思った。
「普通科の生徒は頭がいいのに、毎日先生に習っている。 私は頭が悪いのに、誰にも習わないで一人で勉強している。こんなことをしていて、本当に普通科の生徒に勝てるんだろうか?」
そう考えた時、いつも絶望的になった。どうしようもない怒りが溢れ出てきて、よく暴れた。机をひっくり返し、イスを思いっきり床に投げつけた。
そして、自分の体も傷つけるようになった。ダメな自分に、まるでお仕置きでもしているようだった。暴れるだけ暴れたら、最後はもう泣くしかなかった。
つらくてどうしようもなかった。バカはどこまで行ってもバカなんだ、所詮バカは、いくら努力してもダメなんだ、とつくづく思い知らされた。
実際、模擬試験を受けてもできなかった。得意な英語でも、問題文すら読めなかった。見たこともない単語に、見たこともない長い文章が並んでいる。
三年生になっても、私は5点しか取れなかった。